杉岡幸徳の著作

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金環蝕と女

金環蝕は、戦慄的な事件だった。

太陽が大いなる環を創り始めた時、地上はざわめき始めた。
突如、犬が天に向かって血の出るように吠えはじめた。
辺りの光が衰え始めた。まるで、悲嘆という名の暗い魔物が、地球上に舞い降りたかのように。

その時、太陽は大いなるリングを創った。
それはまるで、巨大な死の指環が天空に放り投げられたように、奇怪で不吉な輝きを放っていた。

僕は目を離せなかった。
暗いグラス越しに数十分も、この不気味な天空の刻印を見つめ続けたのだ。


しかし、その後異変が起こった。

目が見えなくなったのだ。
世界がかすむ。辺りがぼやけ、白い霧の中に沈み始めた。
明らかに僕の視覚は異常を示していた。

驚いた僕は眼科に駆け込んだ。
いわゆる日蝕網膜症らしい。その医院だけで、その日かなりの人々が目の異変を感じ、治療を受けたという。

幸いにも僕の眼はそれほど大きなダメージを受けなかったが、金環蝕の神秘性・恐ろしさを思い知った。


金環蝕と女は似ている。

金環蝕を見つめすぎると、眼を焼いてしまう。
治すには、医者にかからねばならない。

女も、見つめすぎると胸を焦がす。
しかし、恋の病を癒す医者は存在しない。

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