杉岡幸徳の著作

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あるお茶屋の陰謀

武蔵小山の商店街を歩いていたら、お茶屋のおばさんに呼び止められた。
「ちょっとお兄さん。静岡の新茶、召し上がって行きません?」

思わず足を止め、一杯煎じてもらう。
甘くてうまい。
「美味しいでしょ?」
おばさんが嬉しそうに、僕の目を覗き込みながら言う。
僕は飲み干した湯呑みを返しながら、
「深い味です。……でも、セシウムは大丈夫なんですか?」
「え?」
おばさんは、虚を突かれたような、不思議そうな顔をした。
「ああ、今話題のセシウムね。そんなの入ってませんよ。セシウムが出たのは神奈川の足柄茶です。静岡のお茶は大丈夫ですよ」
「いえ、静岡茶って、そもそも放射性物質の検査をしていないと聞きましたけど」
「ええ?」
おばさんは、さらに不思議そうな、戸惑ったような瞳で僕を覗きこんだ。
「それは違いまわよ。静岡茶はちゃんと検査しています。セシウムが出ていないのが証明された上で、出荷されているのよ」
「でも、静岡茶って、本当は静岡で採れたお茶じゃないですよね?」
「はあ???」
今度はおばさんの表情が引き攣ったような気がした。
「四国や、関東や、東北で採れたお茶を静岡に持ってきて、それを『静岡茶でござい』と言って売りに出す。これが実際じゃないですか? 宇治茶だって、本当に宇治で採れた茶葉はほとんど含まれていないと聞きましたが」
「そ、そんなことないです。この店の静岡茶は、みんな本当に静岡で採れたお茶っ葉なのよ……」

僕はこの辺で話を切り上げ、店頭に並べられていた「さつま茶」を手に取り、買って帰った。


しかし、お茶屋って、こんなに堂々と嘘をつくのかね。
静岡茶や宇治茶が、必ずしも静岡や宇治で採れたものでないことは、ちょっと調べたらわかる。
お茶屋をやっているから、精神が「茶人」になっていい加減なのかもしれないが、現代の消費者を甘く見ないほうがいい。
みんな賢くなっている。
周囲に他のお茶屋がなかったので、しかたなくこの店で買ってしまったが、もうこんないい加減な店で買う気にはなれない。

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