杉岡幸徳の著作

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ

« オタク | トップページ | 火星人募集! »

『スットコランド日記』(宮田珠己著)

先日、エッセイストの宮田珠己さんが新刊の『スットコランド日記』(本の雑誌社)を送ってくださり、とても嬉しかった。宮田さんは僕が最も好きな作家の一人だからだ。

前にも書いたように、僕が初めて宮田さんの著作に出会ったのは、10年ほど前の『東南アジア四次元日記』(旅行人)で、その曲がりくねった独自の視点と、斬新でナンセンスな文体に衝撃を受け、それ以降ずっと勝手に注目していたのだ。宮田さんの、日本語の関節を外しまくり、徹底的に意味を細断して破壊する文体は、現代詩の観点から見ても、評価されていいと思っている。

新刊の『スットコランド日記』は、「WEB本の雑誌」に連載されているものを書籍化したもの。
僕はもちろん、WEBに載っていたころから読ませていただいていた。

「スットコランド」とは、宮田さんの住んでおられるマンションから見える風景が、なんとなくスコットランドに見えることから付けたものだ。
ちなみに、読み始めた頃、僕は本気で、宮田さんがスコットランドに住んでいると思っていた。
風光明媚な所に住めて羨ましいと思っていた。もっとも、日記の中に「湘南に行った」とか「新宿に本を買いに行きました」とかしきりに書かれていたので、妙な感じはしたのだけれど。わざわざスコットランドから、なんで湘南まで泳ぎに来ているんだろう。コンコルドででも移動しているのだろうか……とか。

日記だから、これを読むと宮田さんの日常生活がある程度わかる。そして、あの不思議で面白い文章がどういう過程で生まれてくるのかも、見えてくる。つまり、作家の工房を覗くことができるのだ。

文章では能天気でアホらしいことを書いていても、宮田さんはそれなりに悩みながら、迷いながら書いておられることもわかって来る。そして、書きたい小説を書くために、自分に合わない仕事の依頼を、戸惑いながらも断る姿にも、感銘を受ける。

僕がもっとも共感し、「そうそう、そうなんだよな」と思ったのは以下の部分。これは、宮田さんの著作を貫く、通奏低音になっているのではないだろうか。


こざかしいことグダクダ言ってないで、文化的考察とか、役に立つ情報とか、現地の人々とのふれあいとか一切なく、読んだ人が、これ現地行ってないでしょ、と思うほど、中身スカスカの究極的にくだらないおバカ旅行記を書け、というお告げではないか。
Don't think! Eeeeeeeel.(考えるな、うなぎだ)

« オタク | トップページ | 火星人募集! »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/44296/45909449

この記事へのトラックバック一覧です: 『スットコランド日記』(宮田珠己著):

« オタク | トップページ | 火星人募集! »