杉岡幸徳の著作

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鉄道と時間と僕らの失ったもの

有名な話。

インドでは、鉄道はよく遅れる。
数時間、半日遅れは当たり前で、乗客もそれをよく分かったもんで、飯を食ったりおしゃべりしたりして、気長に待っている。

ところがある日、なんと列車が定刻どおり到着し、発車してしまった。
乗り遅れたインド人たちは激怒し、駅員に食ってかかった。
「定刻どおりに発車するなんて何事だ!こっちは遅れるのを想定して、飯を食ったり昼寝していたんだぞ。この責任をどうやって取るつもりだ!」

抗議を受けた駅員は、すました顔で言った。
「お客さん、あれは昨日の列車なんですよ。今日の列車は、『定刻どおり』あと一日は遅れますので、ご心配なく」


今回の、福知山線の列車事故を見て、思いだした話だ。
問題の列車は、なんと「一分半も」遅れていたらしい。
JR西日本にとっては、許しがたい遅れだったのだろう。

そういえば、前に蔵前仁一氏の本を読んでいると、こんな話が載っていた。
「東京駅には2分遅れて到着します。お急ぎのところ、まことに申し訳ございません」
という新幹線の車内放送を聞いて、日本に来たユダヤ人女性が爆笑していた、というのである。
「日本では、2分の遅れで謝るのね」
もちろん、謝ってもらったところで、一銭の金もでないのだが。

僕がかつてベルリンに行ったときは、列車が遅れるどころか、途中で走行を放棄してしまったことがあった。
ある駅で停まったまま、うんともすんとも動かない。
あまりに停車時間が長いので、
「この電車、ここから動かないんだな……。仕方ないから次のに乗ろうか」
とみんながなんとなく察知し、ゾロゾロ外に出始めた。

その間、アナウンスも何もない。
もちろん、お詫びの放送などあるわけがない。
電車は勝手に走り、勝手に走るのを放棄しただけである。
乗客は取り残されたままだ。

しかしそれはあまりにも無責任で、サバサバした光景だった。
別に腹も立たなかった。「ああ、この国はこうなんだな……」と思ったくらいだ。
電車が数分遅れたくらいで怒り狂ったり、意味もなく携帯電話で連絡を始める人々にはわからないだろうが。


僕らはいつから、こんなにセコセコした生活を始めたんだろう、と思う。

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コメント

余裕というものが怠惰であるということに置き換えられてしまう世の中ですね。そして安全より効率とスピードを。企業のトップの姿勢が釈明会見で見せたアレでは、犠牲者の方々が浮かばれません。

いつも思うんだけど、企業のトップがマスコミの前で、頭を下げてみせるおなじみのシーン。
あの儀式は、いつから始ったんだろう?
たぶんここ10年ほどの、新しいものだと思うが……。
とにかく形式的に頭を下げてみないと、世間とマスコミは納得しないらしい。

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