恵方巻の謎~「伝統」とはどこからやってきたのか2
前回は、「アフリカの黒い瞳」というタイトルで、「伝統」と称するものが、いかにでたらめでインチキなものか、ということを明らかにした。
何しろ、ある時フランス人がアフリカの原住民に教えた「黒い瞳」が、10年後には「1000年前からアフリカに伝わる伝統の歌」になっていたのだから。
そして、現代日本でも、これとそっくりの「伝統の捏造」が行われ、多くの人がだまされている。
それは、節分の日にある方角を向いて食べるという「恵方巻」である。
これの起源は、ほとんどわかっていない。関西が発祥の地と言うことになっているが、関西出身の僕はこんな風習を全然知らなかったし、大阪に住む年寄りに聞いても、「そんなん知らんで」という。
つまり、これは最近になってでっち上げられた「伝統」なのだ。どうやら、海苔業界とコンビニがタッグを組み、売り上げを伸ばすために伝統を捏造した、というのが真相のようだ。
お菓子業界が、バレンタインデーにチョコを贈る、という風習を捏造したのとそっくりである。
それにしても、こんなにもあからさまな「騙し」がなぜ堂々と成功してしまったのか。
それは、多くの人の「知ったかぶり」にあると思う。
「節分の日には、決められた方角を向いて、恵方巻を食べるんですよ。これが日本の風習なんですよ……」
ともっともらしく言われると、
「ああそうか、そう言えばそんなこと聞いたことあったっけなあ……。そうそう思い出した」
などと考えてしまい、
「そんなん知るかいな、ボケ!カス!」
とはっきり言うことができなかったのである。
恵方巻の流行は、こういった人々の知的劣等感と、虚栄心と、記憶の曖昧さを見事に突いたのである。
そして、人々が「伝統」や「風習」という言葉にいかに弱いかを、はっきり証明しているのだ。
だから、
「これは日本の伝統だから、あなたも守りなさい!」
などと言ってくる連中は、絶対に信用しないほうがいい。
その「伝統」とやらは、実はせいぜい十数年ほどの歴史しか持たない場合が多く、彼らが「伝統」を持ち出すときは、それは単に「自分の好み」や「政治的イデオロギー」を押し付けるためである場合が多いからだ。
「日本の伝統だから」と主張して、日の丸や君が代にひざまずくのを強制する連中が、まさにそれである。
「伝統」を持ち出す人間は、すべて詐欺師だと思っていい。
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